『私が見た未来』(漫画作品)
特に予言に関する内容が大きな話題を呼びました。
以下についてまとめます。
1.大きなニュースになった理由と出来事
2.予言と実際の検証
3.今後の予言
1. 大きなニュースになった理由と出来事
<理由>
『私が見た未来』(初版1999年、朝日ソノラマ)は、表紙に「大災害は2011年3月」と記載されており、2011年3月11日の東日本大震災(3.11)と一致したことで「予言漫画」として注目されました。この一致が2020年頃からテレビ番組(例:テレビ東京『やりすぎ都市伝説』)やYouTube、SNSなどで取り上げられ、都市伝説として拡散。2021年に出版された『私が見た未来 完全版』では、新たな予言として「2025年7月に大津波が日本を襲う」と記載され、特に「2025年7月5日午前4時18分」という具体的な日時が話題を加速させました。
この予言が日本だけでなく香港、台湾、韓国など海外にも広がり、特に香港では風水師が同様の災害予言を支持したことで、日本への旅行キャンセルや航空便の減便が発生。2025年5月時点で、香港からの訪日客が減少するなど観光業に影響を与え、社会現象化しました。 さらに、飛鳥新社によると『完全版』は電子版含め106万部を突破し、電車の中吊り広告も話題に。
<主な出来事>
・1999年: 『私が見た未来』初版刊行。表紙に「大災害は2011年3月」と記載。
・2011年3月11日: 東日本大震災が発生。出版から12年後の一致が話題に。
・2020年頃: YouTubeやテレビ番組で「予言漫画」として再注目。中古市場で初版が10万円以上のプレミア価格に。
・2021年10月: 『私が見た未来 完全版』出版。新たな予言「2025年7月5日に東日本大震災の3倍の津波」が記載され、話題が拡大。
・2025年5-6月: 予言がSNSで拡散され、海外での旅行キャンセルや日本国内の防災意識の高まりが報じられる。気象庁長官が「科学的根拠のないデマ」と否定する異例の会見を開く。
・2025年6月15日: たつき氏が新刊『天使の遺言』(文芸社、竜樹諒名義)を緊急出版。予言の誤解を解き、「7月5日は災害が起きる日ではない」と軌道修正。
<社会的影響>
予言の具体性(日時や津波の規模)と東日本大震災の「的中実績」が、SNSやメディアを通じて拡散され、不安を煽る結果に。特に2025年7月が近づくにつれ、トカラ列島の群発地震や阿蘇山の火山活動活発化が「予言と符合する」と一部で騒がれ、注目度が急上昇。 一方で、偽情報も問題化し、メディアがその背景を報じました。
2. 予言と実際の検証
主な予言は、作者が見た予知夢を「夢日記」として記録し、『私が見た未来』や『完全版』に掲載。以下は主な予言とその検証です。
<東日本大震災(2011年3月)>
(予言内容:)
・1999年の初版表紙に「大災害は2011年3月」と記載。漫画内で津波や逃げ惑う人々の描写も。
(検証)
・ 2011年3月11日の東日本大震災(M9.0、津波被害)と一致し、「予言的中」と話題に。ただし、表紙の日付以外に具体的な場所や規模の記載はなく、事後的に一致した可能性も指摘される。認知心理学者の菊池聡教授は「地震国の日本では曖昧な予言が当たりやすい」とし、確証バイアスの影響を指摘。
(信憑性)
・「的中」とされるが、予言の曖昧さや事後解釈の可能性から、科学的根拠は乏しい。
<ダイアナ妃の死(1997年8月)>
(予言内容)
・1989年に「大きな洞窟のような場所で顔がハッキリ見えない女性が何か言いたそうにしている」夢を見たと記述。後にダイアナ妃の死(パリ・トンネルでの事故)と関連付けられる。
(検証)
・ 夢の記述が曖昧で、事後的にダイアナ妃の死に結びつけた可能性が高い。出版(1999年)より前の夢だが、具体性に欠けるため「こじつけ」との批判も。
(信憑性)
・ 根拠薄弱。「的中率90%」という噂も、たつき氏本人が否定し、データ裏付けなし。
<フレディ・マーキュリーの死(1991年11月)>
(予言内容)
・ 1976年11月に「Queenのフレディが亡くなる夢」、1986年11月に「Queenにフレディがいない夢」を見たとされる。
(検証)
・ フレディ・マーキュリーは1991年11月に死去。夢の時期と一致するが、詳細な記述がなく、事後的に関連付けられた可能性。たつき氏の他の予言同様、曖昧さが問題。
(信憑性)
・ 事後解釈の可能性が高く、科学的根拠なし。
<2025年7月5日の大津波予>
(言内容)
・『完全版』で、2021年7月5日午前4時18分に見た夢として、「日本とフィリピンの中間の海底が破裂(噴火)し、東日本大震災の3倍の津波が太平洋周辺を襲う」と記述。あとがきで「夢を見た日が現実化するなら2025年7月5日」と記載。
(検証)
・ 2025年7月5日は過ぎましたが、報道や公式記録に基づき、この日時に大規模津波や地震は発生していません。トカラ列島で震度5の地震が報告されたものの、本州での大災害はなく「予言は外れた」との見方が強い。 新刊『天使の遺言』で「7月5日は災害が起きる日ではない」と軌道修正し、編集過程での誤解を指摘。
(信憑性)
・ 科学的根拠はなく、気象庁も「デマ」と断言。 SNSでは「予言撤回」と批判する声も。
<全体の評価>
(的中率の真相:)
・「的中率90%」という噂は根拠がなく、作者自身が否定。予言の多くは曖昧で、事後解釈や確証バイアスにより「当たった」とされるケースが多い。
(なりすまし問題)
・作者の名を騙る偽者が、阪神・淡路大震災や尾崎豊の死、富士山噴火などを予言したと主張し、混乱を拡大。作者は『天使の遺言』でこれを暴露し、自身の意図でない情報が拡散されたと説明。
(科学的視点)
・ 地震予知は現在の科学では不可能(気象庁長官発言)。予言の拡散は、地震国日本の不安心理やSNSの情報拡散力によるもの。
3. 今後の予言
『私が見た未来 完全版』や『天使の遺言』で言及された、2025年7月以降に関連する予言や可能性は以下の通りです。
<富士山大噴火>
(内容)
・ 1991年8月20日に見た夢で、「富士山が大噴火する」と記述。5年周期で現実化する可能性があり、2026年や2031年が候補とされる。
(現状)
・ 富士山の火山活動は現在平穏で、気象庁は特異な兆候を報告していない。ただし、なりすましによる「2021年8月噴火」予言は外れている。
(信憑性)
・ 曖昧な記述で、時期や規模が不明。科学的根拠なし。
<南海トラフ地震・津波(2030年まで)>
(内容:)
・1996年頃に「津波が押し寄せる」夢を見たとされ、南海トラフ地震(30年以内の発生確率80%)と関連付けられる。2030年までに起こる可能性が噂されている。
(現状)
・ 南海トラフ地震は科学的に注視されているが、時期特定は不可能。たつき氏の予言は具体性に欠ける。
(信憑性)
・ 地震国日本では確率的に可能性はあるが、予言としての根拠は薄弱。
<心の時代の到来>
(内容)
・ 『完全版』や『天使の遺言』で、大災害後には「輝かしい心の時代」が訪れると記述。災害をきっかけに人間の意識や価値観が変わると強調。
(現状)
・ 抽象的なビジョンであり、検証は困難。作者は予言を「警告」として、防災意識や心の変革を促す意図を強調。
(信憑性)
・ 哲学的・スピリチュアルなメッセージに近く、科学的予測ではない。
<最新メッセージ2025年6月の『天使の遺言』>
「予言は警告であり、未来を変えるためのもの」、具体的な日付(7月5日)の誤解を解消。災害への備えや防災意識の向上を重視し、「心の時代」への希望を強調しています。 また、なりすましや誇張された情報に警鐘を鳴らし、作者の意図は恐怖の喚起ではなく準備と希望だととのこと。
あとがき
筆者は、漫画は漫画としての作品を楽しんでほしいと思います。漫画は現実ではありません。漫画を見て、読んでSNSで恐怖を喚起するような投稿を拡散することだけはしないでもらいたい、やめてもらいたいものです。
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