ピックアップ記事

【日産自動車、追浜・湘南工場での車両生産終了】
<従業員と地域の未来、そして神奈川県の対応>
日産自動車は、2025年7月15日、経営再建の一環として、神奈川県横須賀市にある追浜工場での車両生産を2027年度末(2028年3月まで)に終了し、福岡県の「日産自動車九州」工場に移管・統合することを発表しました。また、子会社である日産車体の湘南工場(神奈川県平塚市)での車両生産も2026年度末(2027年3月まで)に終了する方針です。この決定は、日産が世界で7つの工場を削減する計画の一環であり、国内工場の稼働率低下と販売不振による経営圧迫への対応策です。本記事では、追浜工場と湘南工場の従業員の今後、工場城下町への影響、そして神奈川県の対応について、最新の情報を整理して解説します。

<追浜工場と湘南工場の概要>
追浜工場(横須賀市)は、1961年に操業を開始した日産の主力工場で、「ブルーバード」「マーチ」「ノート」「ノートオーラ」などの車種を生産してきました。年間生産能力は約24万台で、2024年10月末時点で約3,900人の従業員が在籍しています(うち生産部門は約2,400人)。敷地内には総合研究所や衝突試験場、テストコース、専用埠頭も併設されており、日産の技術開発の中心地でもあります。

<湘南工場(平塚市)>
湘南工場は子会社「日産車体」が運営し、商用バン「NV200バネット」や「AD」(2024年11月生産終了予定)を生産しています。年間生産能力は約15万台で、約1,200人の従業員が働いていますが、2024年度の実績は約2.5万台と低迷していました。

**両工場の稼働率は約40~60%と、損益分岐点(70~80%)を大きく下回っており、生産能力の過剰さが経営課題となっていました。

<従業員の今後は?>
日産は、追浜工場の生産部門の約2,400人について、2027年度末まで現在の勤務を継続し、その後の処遇については「方針が決まり次第、従業員に周知し、労働組合と協議する」としています。具体的には、福岡県の日産自動車九州への配置転換や、追浜工場内の研究所・試験場(事業継続予定)への異動が考えられますが、詳細は未定です。

一方、湘南工場の約1,200人の従業員については、日産車体が「車両生産委託の可能性を模索しつつ、特装車やサービス部品の生産などサポート事業への移行を検討する」とコメントしています。雇用維持を最優先に、代替事業の模索を進めるとしていますが、具体的な再配置計画は明らかにされていません。

日産のイバン・エスピノーサ社長は、7月15日の会見で「この決定は従業員にとって大きな痛みを伴う改革であり、苦渋の判断だ」と述べ、従業員への配慮を強調しました。しかし、過去の例(1999年の村山工場閉鎖など)では、リストラや早期退職募集が実施された経緯があり、従業員の間では不安が広がっています。

<工場城下町の行く先>
追浜工場周辺の横須賀市は、「日産の街」として知られ、京急追浜駅前の商店街や地域経済は工場の存在に大きく依存してきました。地元住民からは「追浜工場は町の発展を支えてきた」「雇用が心配」「ゴーストタウンになるのでは」といった声が上がっています。1995年の座間工場閉鎖時には周辺商店街が衰退した前例もあり、今回の生産終了が地域経済に与える影響は深刻です。

湘南工場のある平塚市も、工場閉鎖による経済的打撃を懸念しています。神奈川県内には日産と取引のある企業が1,757社あり(全国で2番目に多い)、特に輸送用機械器具製造業の約3割が日産と関係を持つと推定されます。工場閉鎖が現実化すれば、サプライチェーン全体への波及効果が避けられず、取引先企業の業態転換や競争激化が予想されます。

一方、追浜工場の敷地活用策として、台湾の鴻海精密工業(Foxconn)との協業が浮上しています。2025年7月6日の報道によると、日産は追浜工場で鴻海の電気自動車(EV)生産を検討しており、合弁会社設立や工場売却の可能性も議論されています。これが実現すれば、工場の完全閉鎖を回避し、一部雇用の維持や地域経済の活性化につながる可能性があります。ただし、エスピノーサ社長は「現時点で合弁や委託生産の具体的な話はない」と述べており、協議は初期段階です。

<神奈川県と地元自治体の対応>
・横須賀市の上地克明市長は、追浜工場の生産終了について「雇用の中心となる生産拠点がなくなることは大変残念」とコメント。市は日産と情報共有を進め、従業員や取引先への影響を最小限に抑えるため、関係機関と連携して支援策を検討するとしています。6月の市長選では、工場閉鎖が主要な論点となる可能性も指摘されています。

・平塚市の落合克宏市長は、湘南工場の生産終了について「日産車体が工場の継続に向けた取り組みを進めるとのことで、今後の動向を注視し、必要な協議を進める」と述べ、慎重な姿勢を示しています。

・神奈川県の黒岩祐治知事は、5月の報道時点で「面食らっている。影響は相当だろう」と衝撃を表明。県は日産から正式な説明を受けていないとしつつ、情報収集を急ぐとしています。県内経済への影響を考慮し、取引先企業への支援や地域経済の活性化策が求められる中、具体的な対応策は今後の動向次第です。

<日産の今後>
日産は、追浜・湘南工場の生産終了により、国内工場の稼働率を60%から100%に引き上げ、生産コストを15%削減する計画です。国内の他の3工場(栃木県と福岡県の2工場)は生産を継続し、追浜工場の「キックス」生産は2025年度後半から九州に移管されます。国外では、メキシコ、南アフリカ、インド、アルゼンチンの工場閉鎖も検討されていますが、詳細は未発表です。

エスピノーサ社長は「国内でのさらなる生産拠点の削減は行わない」と明言し、追浜工場の研究所や試験場は継続することを強調しました。日産は、経営再建計画「Re:Nissan」の下、2027年度までにグループ全体で2万人の人員削減を進める方針ですが、従業員や地域への影響を最小限に抑えるための慎重な対応が求められます。

<まとめ>
日産自動車の追浜工場(2027年度末)と湘南工場(2026年度末)の車両生産終了は、従業員約3,600人(生産部門)と神奈川県内の工場城下町に大きな影響を及ぼします。日産は従業員の雇用維持や再配置を検討し、追浜工場の活用策として鴻海との協業を模索していますが、具体策は未定です。横須賀市や平塚市、神奈川県は、地域経済への打撃を懸念し、支援策の検討を進めています。地元住民や取引先企業は不安を抱えつつも、工場の存続や新たな活用策に希望を見出そうとしています。日産の経営再建は、グローバルな自動車産業の転換期における厳しい決断ですが、従業員や地域社会への配慮が成功の鍵となるでしょう。今後の動向に注目が集まります。
子会社の湘南工場従業員の処遇が追浜工場と異なるのが気がかり。日産は子会社の従業員の処遇にも日産の従業員として責任を持つべきだと筆者は考えます。

注記:本記事は、2025年7月15日時点の情報に基づいています。状況は今後変化する可能性があります。
情報の正確性を確保するため、信頼できる報道(NHK、日本経済新聞、読売新聞など)を参照しました。

#日産
#追浜工場
#工場閉鎖
#自動車
#ニュース

<ツイッターの反応>

LINE NEWS
@news_line_me

日産、追浜工場での車両生産を27年度で終了 湘南工場も26年度で(朝日新聞) news.line.me/detail/oa-rp84…

(出典 @news_line_me)

keihu
@kei_hu

日産、追浜工場での車両生産を27年度で終了 湘南工場も26年度で(朝日新聞) - Yahoo!ニュース news.yahoo.co.jp/articles/4a66c…

(出典 @kei_hu)

Visited 7 times, 1 visit(s) today
ピックアップ記事

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事