日本と欧州の法規制の取り組みの違いについてまとめてみた。
<なぜ注目されている>
PFASは便利な特性を持つ一方で、以下のような問題が指摘されています:
環境汚染:
・PFASは自然界で分解されず、土壌、水、空気中に長期間残留。
・世界中の川、湖、地下水、さらには雨水や南極の氷にも検出されている。
健康への影響:
・体内に蓄積しやすく、血液や臓器に残る。
・研究では、がん、肝臓障害、免疫系への影響、胎児の発達異常などとの関連が懸念されている
<日本でのPFAS規制>
現状:
日本では、**PFOA(パーフルオロオクタン酸)およびPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)**が、**化学物質審査規制法(化審法)**に基づき「第一種特定化学物質」に指定されています。これにより、製造、輸入、使用が原則禁止(一部例外を除く)。
2021年にPFOAが規制対象に追加され、PFOSはそれ以前から規制されています。
他のPFAS化合物については、包括的な規制はまだなく、個別の物質ごとにリスク評価が進められている段階です。
具体例:
PFOSは消火剤や工業用途での使用が制限。
PFOAは防水製品やコーティング剤での使用が禁止(代替物質への移行が進む)。
課題:
すべてのPFAS(約4,700種類以上)を網羅する規制は未整備。
飲料水や土壌でのPFAS汚染(特に沖縄の米軍基地周辺など)が問題視され、環境基準の設定が議論中。
<欧州でのPFAS規制>
現状:
欧州連合(EU)は、ストックホルム条約に基づき、PFOSを2009年から、PFOAを2020年から制限(REACH規制およびPOPs規則に基づく)。
2023年2月、EUはすべてのPFASを包括的に規制する提案を発表。2025年以降、段階的にPFASの製造・使用・輸入を禁止する計画(一部の必須用途を除く)。
具体例:
PFOSは消火剤や繊維製品での使用がほぼ全面禁止。
PFOAはフッ素樹脂製品や防水スプレーでの使用が制限。
代替PFAS(例:GenX)も安全性懸念から監視対象に。
特徴:
EUはPFAS全体を「グループ」として規制するアプローチを採用。これは、個別の物質規制では代替物質が次々に登場する問題に対処するため。
飲料水基準も厳格化(例:EU飲料水指令でPFAS合計濃度を100ng/L以下に設定)。
<日欧の違い>
規制範囲: EUはPFAS全体を対象とした包括的規制を進めているが、日本はPFOAやPFOSなど特定物質に限定。
スピード: EUの方が規制強化の動きが早く、飲料水や食品包装材での基準も進んでいる。
背景: 日本は工業用途の需要や経済的影響を考慮し、慎重なアプローチ。一方、EUは環境・健康リスクを優先。
<国際的な動き>
ストックホルム条約(残留性有機汚染物質に関する条約)に基づき、PFOS、PFOA、PFHxS(パーフルオロヘキサンスルホン酸)が国際的に規制対象。各国はこれに準拠。
日本の課題: 沖縄などでの水質汚染問題が深刻化しており、環境省は2024年にPFASの水質調査を強化。包括的規制の議論も始まっている。
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始まりはパタゴニア創業者との出会い:フリースの元祖ポーラーテックの技術力とは …しています。今後、この流れはより加速していくと思います。 たとえば、PFASフリーという有機フッ素化合物を使わない撥水剤を使用したり、防菌防臭加工に… (出典:FASHION TECH NEWS) |
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<ツイッターの反応>
289・PROJECT🇯🇵official🇯🇵
@289hthjp「ピーファス問題」とは、有機フッ素化合物(PFAS:Per- and Polyfluoroalkyl Substances)による環境汚染とそれに伴う健康被害への懸念を指す問題です。PFASは、「永遠の化学物質」とも呼ばれるほど、環境中で分解されにくく、生物の体内に蓄積されやすい特性を持っています。 PFASとは pic.x.com/W0QnH8NGF2
放送文化基金
@hosobunkakikin【🎬映画『ウナイ 透明な闇 PFAS汚染に立ち向かう』】の試写会に行ってきました!! 🧪水に潜む“見えない脅威”PFASとは? 飲み水から見えてくる世界の問題。 「子どもたちを守りたい」と立ち上がった女性たちの姿を追うドキュメンタリー。 この夏、ぜひご覧下さい。 pic.x.com/5JPbWtCy9p x.com/hosobunkakikin…