<故事の概要>
「大器晩成」は、中国の古典『老子』に由来する故事成語です。具体的には、『老子』第41章に「大器晩成」という言葉が登場し、「大きな器(うつわ)は完成するのに時間がかかる」という意味で使われています。古代中国の思想家・老子の哲学に基づき、急いで結果を求めるのではなく、時間をかけてじっくりと成熟することの価値を説いています。
<慣用句の意味>
「大器晩成」の意味は、「大きな才能や器量を持つ人は、成熟するのに時間がかかり、晩年にその能力を発揮する」というものです。つまり、すぐには成果を上げなくても、長い時間をかけて努力を重ねれば、大きな成功を収めることができるという励ましの意味合いが込められています。この言葉は、忍耐と努力の重要性を強調し、早期の成功にこだわらず、じっくりと成長する姿勢を肯定します。
<補足>
文化的背景: 日本ではこの言葉が特に好まれ、若者が焦らずに自分のペースで成長することの大切さを教える際に使われることが多いです。また、ビジネスや学問、芸術など、時間をかけて成果を出す分野でよく引用されます。
<使用例>
1. 日常会話:
「彼は若い頃は目立たなかったけど、50歳を過ぎて会社を立ち上げて成功した。本当に大器晩成だね。」
2. 励ましの言葉:
「今は結果が出ていなくても、焦る必要はないよ。君は大器晩成のタイプかもしれないから、じっくり努力を続けて。」
3. 文章での使用:
「あの作家は長年無名だったが、60歳を過ぎて発表した小説がベストセラーになり、大器晩成の典型と呼ばれた。」
<類義語>
晩学(ばんがく): 遅くに学問や知識を身につけること。
遅咲き(おそざき): 比較的遅い時期に才能や成果が開花すること。
石の上にも三年: 辛抱強く努力を続ければ、必ず良い結果が得られるという意味。
熟柿主義(じゅくしいしゅぎ): 急がずじっくりと物事を進める姿勢を指す(やや古風な表現)。
臍を固める(ほぞをかためる): じっくり準備をしてから行動する、というニュアンスが近い。
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